交換留学と就職
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交換留学の成果は数字で示す

僕が交換留学に出たときは、留学と言えば交換留学しか選択肢が無かったし、提携校数も少なかった。今では、当時と比較して慶應の交換留学提携校はざっと2倍になり、短期留学プログラムも増え、ダブルディグリープログラムもできた。これに伴って、就活の面接で「僕は英語が得意です」とアピールする学生も増えてきている。

ところが、今の留学経験者が皆、英語ペラペラなのかというと、実はそうでもない。10年前なら、慶應の英語圏の交換留学経験者なら、就活時にはTOEFL iBT 100以上、TOEIC 900以上を示すのが当たり前だった。ところが、1年も留学したくせに、TOEIC 900を切るような学生も面接に来るようになっている。

最近一番衝撃を受けたのが「フランス語能力ゼロの状態でフランス留学しました!」と面接でアピールした慶應生で、あまりの無計画さに面接官一同ドン引きだった。本人はフラ語がさっぱりなのにフランスに飛び込んだ行動力をアピールしたかったらしいのだが、完全な逆効果だ。結局、学生の国際経験値が底上げされたというよりも、かつてなら留学できなかった層が、留学に行くようになったというのが実態だろう。

このような状況の中で、我々、選考をする者に課される課題は、多くの「自称国際派」の学生の中から、本当に輝く原石を短い面接の中で見抜くことだ。最近は「世界一周に行きました」とか、就活用のネタを作ってくる学生は多い。ところが学生の世界一周ストーリーを繰り返し聞いたところで、誰が一番優秀かを正しく判断するのは不可能だ。「サッカーボールを持参して各国の子供たちとサッカー交流した」とか言われても、どうにも評価しようがないのである。

結局のところ、高い語学スコアを示せる学生の方が、大げさな武勇伝を語る学生より、よほど努力の積み重ねが伝わる。プロの世界では、毎年、期初に数字(利益)にコミットして、期末には確実に達成することが求められる。コンサルも金融も弁護士も、毎年の厳しいノルマを繰り返し達成して、高給をもらっているだ。交換留学の成果もしかりで、就活でアピールしたいならば、変なストーリー作りに励むよりも、定量的に、客観的に分かる「数字」で成果を示してほしい。留学のハードルが下がっても、TOEIC 900点代後半を出せる学生は一握りであることは今も昔も変わらない。そのハイスコアは、しっかりした計画性や涙ぐましい努力をきちんと裏付けてくれるものであり、武勇伝よりもよほど重いのである。

留学経験者は増えたが TOEIC900代後半を出せる学生は増えていない
交換留学の成果は語学スコアで示すべきであり 就活用の武勇伝は不要