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フリーダム ドイツ

Frankfurt空港に着いた僕は、早速ICEに乗り込みDusseldorfに向かう。電車というのは、国柄が良く出るので面白い。Thalysはおしゃべりが多く賑やか。ICEはビジネスマンが多く、とても静かだ。ちょうど、東海道新幹線の雰囲気と似ている。日本人とドイツ人の気質の類似性を感じる瞬間だ。

ところが、ドイツ人は真面目一辺倒なのかと言えば、実はそうでもない。有名なのは男女一緒のサウナで、今回泊まったHyatt Dusseldorfのジャグジーでも、小金持ちの子弟とみられる宿泊客がフルオープンで見せつけを食らう。真面目気質の中に、思いのほかぶっ飛んだフリーダムさが混在する、それがドイツである。今回はドイツの某重電メーカー副社長との面談のためわずか2日の強行軍で来たのだけど、48時間でドイツの裏カルチャーを余すところなく楽しみたいと思う。

 

Andrej's Oyster Bar & Restaurant

 
  Andrej's 店内風景     Fish Display (青い大きい奴がParrotfish)  


Dusseldorf中心部からRhein側を挟んだ対岸には、オーバーカッセルという高級住宅街が広がっている。そこに住む友人のPatrickが「僕の家の横においしいフィッシュレストランがある」というので、僕は早速ホテルに準備してもらったMercedes E classのハイヤーを飛ばす。カーブでもスピードを落とさず気持ちよく走り抜けていくので(ドイツではカーブでもスピードを落とさないで運転するのが普通)、やっぱりドイツでは安定感のあるドイツ車だよね、とか思いを巡らせながら15分程で目的地のAndrej's Oyster Bar & Restaurantに到着。長屋の一角を占有した一軒家風のこじんまりした店だ。「Catch of the day (本日の魚)」が飾られたフィッシュディスプレーから選ぶ本格派。LondonのMayfairにあるScott’sと似た仕組みだが、よりカジュアルな感じだ。

小さな店で、バーテン、ウェイターがそれぞれ1名しかおらず、注文を取るまでやたら待たされたのだけど、「今、手一杯なんで、ちょっとまってね!」とか叫んで素直に開き直っているところが、むしろキャラクターがあっていいじゃないか!もちろん、ウェイターが来るまではバーテンがお酒を勧めて間を持たせてくれて、人手が少ないなりに「待たされている感」を無くす工夫をしているところも好印象。

そう、このレストランのポイントはバーカウンターがあること。アッパークラスのレストランでは一般的な構造で、本来はバーで飲みながら席が準備されるのを待つのに使うのだけど、僕のお勧めはバーで食べることだ。出張者の悩みは、一人で食事する場所が少ないこと。カウンターなら一人で座ってもおかしくないし、ワイン片手に小料理をつまんだりするのがちょうど良い(毎日フルコース食ってたら太るよ。。。)。バーカウンターは入口の真横にあるので、ピープルウォッチングしながら飲むのが面白い。

 

 
  バーカウンターで飲み食いするウェイター(Patrick Nuoに似てると思うんだけど)     Parrotfishのグリル  

 

オイスターバーと銘打っていたので、スターターはオイスターを頂く。因みに、オイスターは全てフランス産だったので、ドイツではオイスターはあまり取れないのかもしれない。オイスターバーと名乗っているがコンテンポラリーフレンチのレストランとしても本格派で、魚料理もなかなか良い。この日僕が注文したのは、Catch of the DayのParrotfish(ブダイ)のグリル。青々とした外見で「君は熱帯魚ですか?」と聞きたくなるが、中身は歯ごたえのある食感の白身魚だ。バター、ガーリックでしっかり味付けしてグリルされていて、濃いめの味付けと、カリッと仕上がった皮の組み合わせがワインとよく合う。魚料理が貴重なドイツにおいて、これだけの味を出していれば納得。

小一時間も経つと、ウェイターの手が空いたらしく、僕の真横で飲み食いし始め、「どこから来たの〜?」なんて雑談してくる。何なんだこのフリーダムな感じは。因みに、このイケメンウェイター、ワインをガンガン飲みながら仕事してるんですが、このテキトー加減が良い味を醸し出しちゃっているのはイケメン無罪という奴ですか? (日本の高級レストランでウェイターが飲みながらサーブしたら即刻首だろうに)

 

Reva

 

Revaのバーカウンターにて

 

Andrej'sが久々のクリティカルヒットだったので、早速、Patrickに「お前のセンスは素晴らしい」と褒めにいく。あまりに褒めたからか、「僕は明日休みなのだけど、一緒にバーホッピングに行く?」とPatrickに誘われる。それは嬉しいお誘いなので、当然行きますよと。

そして出向いたのがライン川の中継港の一部を再開発したおしゃれ地区のメディエンハーフェンにあるRevaという人気のイタリアン。この日も地元のサッカー選手の集団で賑わっていた。バーテンが陽気な奴で、フレンドリーに話しかけてきてくれて、なかなか楽しませてもらう。オーナーのイタリアおやじも個性的な人で、酔っぱらった挙句、ステージで歌い出す始末・・・負けず劣らずフリーダムな店である。味はまぁまぁおいしいが、ちょっと詰めが甘い部分もあるので、バーテンとカウンターで話しながらイタリアおやじの歌を聞いて楽しむ感じの使い方をするのが正解のようだ。

 

Osteria Saitta Am Nussbaum

 
  マグロのカルパッチョ     ボンゴレロッソ  

 

因みに雰囲気より質を追求するなら、Osteria Saitta Am Nussbaumが良い。Andrej'sと同じく高級住宅街のオーバーカッセルにあるこじんまりとした店。狭い店だがウェイターが二人おり、しっかりアテンションしてくれ、なにより味がよい。おじさんウェイターがマグロとかアサリとか日本語混じりで説明してくるので、商社の駐在員妻には人気の店の模様。カルパッチョとボンゴレロッソがおススメとのことで頂いたが、確かに旨い。味が良く、ドイツでは珍しく食材が肉に偏っていないので、日本人ウケする店だと思う。

 

Beuys Bar

話をバーに戻すと、ドュッセルドルフのイケてる若者にお勧めを聞くと必ず口にするのが旧市街にあるBeuys Bar (ボイズバー)。旧市街は雰囲気は良いのだけれど、やや観光地チックで大した味でもないレストランも満席だったりするのは好きになれないのだが、ここは小さな看板がかかるだけのディスクリートな外観で、地元の若者に連れて行ってもらえなければ到底行き付けない隠れ家的ホットスポット。1杯10EUR前後と安くはないので、若いといっても20代後半位のヤングプロフェッショナルがメインの客層。仕立の良い服を着つつ少々が胸元がはだけてたり、男なら胸筋が浮かぶシルエットのシャツを着てたりと、歳相応の絶妙なセックスアピールが入っているのが面白かった。。。地元のアーティストの作品が月替わりで展示されるなど、内装も凝っているのも良い。Danielというマネージャーによると、数年前にここをオープンしたのだという。店員も客層も慎重に選ばないとこういう雰囲気にはならないだろうから、若いながらその経営者資質には素直にリスペクトしたい。

 

そんなこんなしている内に2日があっという間に経過し、JAL便の搭乗時刻が迫る。アシスタントのお土産にリースリングを買い込んで、僕はICEに飛び乗る。雰囲気は再び静かでまじめな空気に切り替わり、カメラに収めたぶっ飛び写真を見ながら、次回はもっとディープな裏ドイツ文化を体験するぞと心に誓う。チェックインカウンターに到着したのはフライト1時間前。48時間の体験としてはなかなかだったかな。

 

日本航空 フランクフルト - 成田線 ビジネスクラス

 
 

B/E Aerospace製シート

    6月の夏のドイツの空。午後8時を過ぎているがまだ明るい。  

この日はJALの新しいビジネスクラスで帰国。B/E Aerospace製のシートで、元々ファーストクラス用に開発されたものをビジネスクラスに採用している。JALが世界初採用で、他に大韓航空とオマーン航空が採用している。これまでCathay, ANA, BA, Lufthansaなど主要エアランは全て乗ったが、最も個室感覚を得られる、現時点では世界一のビジネスクラスシートだと思う。因みに、British Airwaysが1999年にクラブワールドに世界初導入したフルフラットシートも、B/E Aerospace製。登場当時は革新的なシートで、僕も2000年代の欧州出張はこのシート目当てで必ずBAで飛んでいた。それだけ革新的なシートメーカーだと言える。

 
  Selection of nine seasonal delicacies in Kobachi bowls    

Grilled sole and prown with kelp flavor。焼いたカレイに昆布フレーバーのソースをかけたものだが、ソースが魚臭さかった。昆布は出汁を取るのが目的なのに、生臭さが出てしまっている。海外発路線の和食の品質管理は難しいのだろう。結局洋食のメインに変えてもらった(洋食は美味しかったけど)

 


スクリーンは23インチと多くのファーストクラスよりも大きい。全面液晶のリモコンになっており、ツースクリーンを活かして視聴を止めずにメニューに戻れる操作性も良い。だが、肝心の機内エンターテイメントシステムの中身がThales製で、モッサリした反応で直感性に欠けているのは残念。リモコンが電子機器の排熱でやたら熱いのも気になる。この品質で製品として売り出してしまったフランス人の神経が恐ろしい。機内エンタメの評判が良いEmirates、Cathay Pacific、Singapore Airlinesなどは皆Panasonic Avionicsを採用しており、かつてThales製を使っていたBAもPanasonicに切り替えている。こういう競合状況をしっかり調べたら、Thales製を採用し続けるなんて判断になるわけないのだが。。。不思議だ。

ところで、このフライトで何より感動したのが客室乗務員の対応。実は一週間前に搭乗した往路と同じチームだったようで、「行きのフライトでご一緒しましたね」とCAに声がけしてもらう。僕は往路で締め切りに追われひたすら仕事をしていたので、目立たなかったはずなのに、そんな乗客のことをしっかり覚えてくれていたのは感動だった。

ということで、いつもながら機内エンタメや海外発路線の食事の品質には微妙な違和感を感じつつ、高いサービス品質には満足したフライトであった。機内エンタメや照明の使い方を含めた雰囲気の出し方では、まだまだCathay Pacific等の方が上を行っているので、JALもぜひ学んで欲しいところだ。