交換留学への道
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子沢山 :Fingleton家は4男1女の子沢山。因みに私のお隣さんGabeも、10人兄弟らしい。宗教的な理由もあって、豪州は子沢山一家が多いのだ。


高床式住居? :Fingleton家の玄関は、なぜか二階にある。実はブリスベンでは、増築の際に平屋を底上げし、一階を増築する工法が一般的なのだ。因みにシドニーではこの工法は流行っていない。ブリスベンの伝統らしいが、使いにくいんじゃない???


俳優情報 :アイドル系ルックスのジェシー・スペンサーが主役のトニーを演じている。あまりに顔が整いすぎていてパッと見「こいつ演技できるの?」と思ってしまうかもしれないが、彼はオーストラリアのソープオペラ(昼メロのこと)"Neighbours"(豪英語ではuが入る)に出演していた演技のできるアイドルである。それもそのはず、彼は頭が良いのだ。役者やりながら、名門Melbourne大の医学部に合格したんだから偉い。


The copyright for pictures above is owned by Metro Goldwyn Mayer.
 

映画で学ぶオーストラリア

大学院の頃、僕は「現代オーストラリア文化論」みたいな本を読み漁ったのだけれど、豪州の政府や企業相手に仕事をする立場となった今振り返ると、どれも役立たなかった。その手の本の大半は「オージーはフレンドリー!」ってな薄っぺらいコメントが並んでいるもので、たまに鋭い分析ができている本があっても、「多文化主義万歳!」的な左傾した論調が多くてしっくりこない。

「多文化主義」とは言うものの、フツーのオージー達は、テキトーに仕事して、週末にはサーフィンってな伝統的なオージーライフを大切にしている。黙々と働く移民達を目の当たりにして、「俺達の文化が失われかねない」とホンネでは警戒している。だから僕は、オージー流に仕事はパッパッと仕上げて、夜や週末はオージー達とたっぷり遊ぶ。そんなオージーライフを真剣に尊重する姿勢を見せることが、彼等の警戒心を解き、厚い信頼を勝ち取るために欠かせないと僕は思う。

等身大のオージーライフを学ぶには、映画やドラマが良い教材だ。例えば、初対面の人との握手の交わし方や、クールな話し方なんて、学校では教えてくれない。ところがHome and Awayを何度か見ていると、そのうち「あぁ、こう挨拶すればクールなのねぇ!」ってな感じで悟るものがあるのだ。そういう小さな悟りを積み重ね、オージー達との距離を縮めていくのである。


スイミング・アップストリーム - オリンピックスイマーの感動の半生
Swimming Upstream

後にオーストラリアのオリンピックスイマーとなるTony Fingletonが、アルコール依存症の実の父からの育児放棄や暴力を乗り越え、水泳選手として成功を収め、ついにはハーバード大学へ進学するまでの半生を綴った、感動の実話である。日本はおろか、同じ英語圏である北米でも公開されなかった低予算映画であるが、知る人ぞ知る名作だ。

実はこの映画、オーストラリア文化の教材として見ると、また違った面白さがある。まずはFingleton家の構造(左の写真)をよーく見て欲しい。玄関が二階にあるでしょ!実はこの高床式住居は、増築の際に平屋を底上げするというブリスベン特有の工法に起因している。同じオーストラリアでも、例えばシドニーなんかでは殆ど見かけない不思議な地域限定文化なのだ。

そして子沢山であること(左写真参照)。Fingleton家も4男1女であるが、僕の友人ゲイブはなんと10人兄弟というからビックリ。カトリックが多いという宗教的理由もあるが、かつては物価が安く、ごく普通の中流家庭でもビーチサイドに広い住居を構えられるという豊かさがあった。他の欧米諸国にはない中流家庭の余裕が、子沢山の背景にあったのだろう。

ところが、ここ10年ほどで出生率は急速に悪化しつつあるという。地価は急騰し、荒廃する公立学校に子息を通わせるわけにいかなくなり*1、かつての余裕が急速に失われているからだ。だからこそ、この映画の持つ「そうそう古き良きオーストラリアってこんなんだったよね」ってな独特の雰囲気には、何だか懐かしさを感じてしまうのだ。きっと10年後には全く別の国になっているであろうことを踏まえれば、古き良きオーストラリア文化の貴重な記録としても、この映画の価値が上がるというものである。


*1: "The parents of some Anglo-European students are avoiding what they perceive as predominantly Lebanese, Muslim and Asian schools...." 記事の詳細はこちら